調停人として
相手方向けサイトより格段に誠実です。とくにFAQで「悪化するリスクはあります」と書けているのは稀有。ただし可視性の高い場所が強く言い、低い場所が訂正するという構造があります。強制執行力(A-3)と費用総額(A-4)が典型で、流れ・比較表の断定をFAQが打ち消している。認証ADR事業者としては、順序が逆です。
離婚を経験した側として
料金が明示されているのは大きい。ただし総額が一度も出てきません。3つの手数料を個別に見せて比較表で「数万円」と言われると、実際に18万円前後と気づいたときの落差が大きい(A-4)。そして「相手が断ったらどうなるか」がどこにもない(C-1)。ここが一番怖いところです。
心理カウンセラーとして
「動けずにいる人へ」の共感パートは秀逸で、このLPの一番の資産です。一方で「5年の別居が1か月で解決」は、動けない人の焦りを的確に突く設計になっていて、自社が示す平均2〜3か月とも齟齬があります(B-1)。共感で入って例外値で煽る構成は、信頼の面で惜しい。
A
実装・事実との矛盾
4件
実際のコードと突き合わせて確認したものです。公開中のページなので優先度は最上位です。
A-1致命
申立手数料の支払タイミングが、実装と逆になっている
場所:wakai for 離婚 ご利用の流れ / ステップ3「申立書の作成」
現行(ステップ3)
申立内容を入力し、戸籍謄本など必要書類をアップロードします。申立手数料をオンラインで支払います。
(→ ステップ4「相手方への通知」)
修正案
ステップ3:申立内容を入力し、必要書類をアップロードします。
ステップ4:相手の方に通知が届きます。
ステップ5:相手の方が話し合いに応じたら、申立手数料をお支払いいただきます。
※ 相手の方が応じなかった場合、申立手数料は発生しません。
なぜ:実装では、申立手数料の支払レコードは相手方が応諾した時点で作られます(DivorceCaseService.accept_petition が fee_id = MOUSITATESHO / payment_user_id = petitioner_user_id で DivoPayments を生成)。ステータスも 150 応諾済 → 170/180 申立手数料決済 の順で、通知より前に請求は立ちません。
つまりLPは、実際より申立人に不利な流れを書いています。「33,000円払ったのに、相手に拒否されて終わった」という最悪のシナリオを読者に想像させている。実際にはそれは起こりません。ここは事実を書くだけで、迷っている人の最大の障壁がひとつ消えます。修正の費用対効果が最も高い項目です。
A-2致命
「最大3回まで」に実装上の裏付けがなく、FAQとも矛盾している
場所:ご利用の流れ ステップ6「スマホ調停の実施」 / FAQ「話し合いが長引いた場合、費用は増えますか?」
現行
流れ:期日を調整のうえ、おふたりとメディエーターの3者でオンラインにて調停を実施します。最大3回までの開催で、直接会うことなく合意内容を協議できます。
FAQ:調停期日の回数が増えると、費用は加算されます。話し合いを重ねるごとに…総額は増えていきます。
修正案(上限がある場合)
多くの場合2〜3回の話し合いで合意に至ります。4回目以降が必要になった場合は、事前に費用をご案内したうえで継続するかどうかをご相談します。そのまま費用が青天井に増えることはありません。
なぜ:コード上、調停回数は mediation_round_number: int = Field(..., ge=1) で下限1のみ。上限の検証はありません。運用ルールとして3回で止めているのか、実際は4回目もありうるのかで、書き方が変わります。
読者にとってこれは「支払いの上限があるかどうか」の問題です。「最大3回まで」と読めば総額の天井が見え、FAQを読むと天井が消える。同じページで2回、費用の見通しが反転します。要確認:4回目以降の運用。
A-3致命
強制執行の説明が、法的に不正確なおそれ
場所:ご利用の流れ ステップ7 / FAQ「合意書が後に守られなかった場合」
現行
流れ:万が一の不払い(養育費等)の際には、直接強制執行(差し押さえ)が可能な形式で残せます。
FAQ:養育費(や婚姻費用)に関しては「特定和解制度」が適用されるため、裁判所や公証役場へ行かなくてもそのまま強制執行(給料や口座の差し押さえ)が可能です。
修正案
養育費・婚姻費用については、改正ADR法の「特定和解」にあたるため、裁判所に執行決定を申し立てることで強制執行が可能になります。公証役場で公正証書を作り直す必要はありません。
※ 財産分与・慰謝料などは特定和解の対象外で、合意書だけでは強制執行できません。
なぜ:改正ADR法(令和5年改正・令和6年4月施行)の特定和解は、裁判所の執行決定を得てはじめて債務名義になります。「裁判所へ行かなくてもそのまま強制執行が可能」は、この執行決定の手続きを省いた説明に読めます。
公正証書を作らなくてよい、という比較優位は本物で、そこは堂々と訴求してよい。ただし「裁判所が一切不要」ではありません。合意書の効力はこのサービスの中心的な訴求なので、ここが不正確だと全体の信頼に響きます。なおFAQ後半の「財産分与・慰謝料は対象外」という説明は正確で、良い記述です。要確認:顧問弁護士に文言を確認してください。
A-4致命
比較表の「サービス利用料が数万円」が、実際の総額と乖離している
場所:調停離婚や裁判離婚との違い / 費用の行
なぜ:掲載されている料金から総額を計算すると、こうなります。
折半でも1人あたり15〜18万円です。「数万円」は申立手数料33,000円だけを見た表現で、比較表といういちばん比較検討に使われる場所に置かれています。弁護士費用40〜70万円に対する優位は3〜4割安で変わらず十分に成立するので、正確に書いても訴求力は落ちません。
さらに重要:「お2人で折半した場合、お1人あたり33,000円」と書かれていますが、実装の既定値は「申立人が全額負担・相手方0」で、負担割合はCSが期日ごとに設定します(payment-campaign.md「期日手数料の按分負担」)。折半は申立人が選べるものではなく、相手方の同意と運用の設定次第です。現状の書き方だと、折半が既定だと読まれます。
修正案:比較表の費用欄を「総額15〜18万円程度(話し合い2〜3回・折半の場合)」に。料金セクションには上の総額例の表をそのまま置き、「負担割合は話し合いのなかで決めます。合意できない場合は申立人のご負担になります」と明記する。
B
表示規制・利益相反
4件
景品表示法・ステルスマーケティング規制(2023年10月〜)の観点。認証ADR事業者は中立性を求められる立場なので、一般の広告より基準は厳しく見られます。
B-1致命
有名人起用にPR表示がなく、効果の打消し表示もない
場所:5年の別居が「1か月」で解決 — 山田まりやさんが利用したスマホ離婚「wakai」
なぜ(ステマ規制):「2026年6月30日での会見発表でのコメント」とあり、記者会見=当社が主催した広報イベントと読めます。事業者が関与した表示であれば、広告であることを明瞭に示す必要があります。会見という文脈だけでは「事業者の表示」であることが一般消費者に明らかとは言えません。
なぜ(打消し表示):見出しが「5年の別居が『1か月』で解決」。一方、自社のFAQと比較表は「最短1か月、平均は2〜3か月」と書いています。最も良かった事例を見出しに掲げ、平均値は別の場所に置く構成は、体験談による効果の強調として典型的に問題視される形です。
修正案:①セクション冒頭に「PR」または「広告」を明示 ②見出し付近に「個人の体験であり、期間や結果を保証するものではありません。合意までの期間は平均2〜3か月です」を、見出しと同程度に読める大きさで併記 ③可能なら見出し自体を「5年動けなかった話し合いが、前に進んだ」のように期間訴求から状態変化の訴求へ。要確認:契約形態(出演料の有無、原稿確認の有無)を確認のうえ、表示を決めてください。
B-2重要
「ご利用者の声」が、利用者の声に見えない
場所:ご利用者の声(30代夫婦/40代夫婦/50代夫婦)
なぜ:3件とも「〜悩んでいました」「〜分からない状況でした」で終わっており、利用した結果が書かれていません。これは「声」ではなく、想定ユースケースの記述です。一人称もなく、書き手の体温がない。読者は「作られた例だろう」と見抜きます。
見抜かれた瞬間、隣にある弁護士メッセージや会社情報の信頼まで巻き添えになります。実在の声でないなら「ご利用者の声」という見出しを使ってはいけません。
修正案:二択です。(a) 見出しを「こんなご相談が多く寄せられます」に変え、「※実際のご相談内容をもとにした例です」と注記する。これだけで誠実な記述になります。 (b) 実在の利用者から、結果まで含めた声を取る(「〜という状態でしたが、2回の話し合いで養育費の取り決めまで決まりました」)。(b) が取れるまでは (a) で運用してください。
B-3重要
弁護士メッセージの1名が、自社の社外監査役であることが開示されていない
場所:弁護士からのメッセージ(田中 伸英 / プロアクト法律事務所) / 会社情報 役員一覧
なぜ:同じページの役員一覧に「社外監査役弁護士 田中伸英」と記載があります。第三者の弁護士による推薦として読まれる位置に、自社の役員が肩書きだけ変えて並んでいる状態です。意図的でなくとも、気づいた読者には「隠していた」と映ります。同じページ内に答えが載っているだけに、発見される確率も高い。
修正案:肩書きに併記するだけで解決します。「田中 伸英/プロアクト法律事務所・当社社外監査役」。むしろ「監査役を弁護士が務めている」という事実は信頼材料になるので、隠すより出したほうが得です。あわせて、3名が実際にメディエーターを務めるのかどうかも明記してください。読者は当然そう読みますが、ページのどこにも書かれていません。
B-4重要
「弁護士費用40万〜70万円」に出典がない(3箇所で反復)
場所:なくなる5つの不安 3 / メディエーター紹介 / ご利用料金について(※一般的な弁護士費用は、着手金20〜30万円、獲得財産や慰謝料の10〜20%)
なぜ:他サービス・他業種との価格比較は、景表法上根拠を示せる状態で行う必要があります。「〜と言われています」という伝聞形は、根拠を示さずに比較する典型的な書き方で、かえって弱く見えます。しかもこの数字はLPの価格訴求の土台になっており、3箇所で繰り返されている。
修正案:出典を明記する(日本弁護士連合会の弁護士報酬アンケート等)。「※ 出典:◯◯(20XX年)。事案により異なります。」の一行を添えるだけで、伝聞形をやめて断定でき、むしろ説得力が上がります。
C
相手方という登場人物が描かれていない
5件
このLPの構造的な弱点です。相手方が応諾しなければ何も始まらないサービスなのに、相手方は「通知が届く対象」としてしか出てきません。申立人が本当に不安なのは、まさにそこです。
C-1重要
相手が応じなかった場合どうなるのかが、どこにもない
なぜ:FAQは「事前に伝えておくのが理想的」「拒絶されるリスクが高まる」「悪化するリスクはあります」と、拒否されうることを3回ほのめかしながら、拒否された後の話を一度もしません。不安だけ置いて答えを出さない形になっています。申立人にとってこれは「払ったお金はどうなるのか」「次はどうすればいいのか」という具体的な問いです。
修正案(FAQに追加):「Q. 相手が話し合いに応じなかった場合はどうなりますか? A. 手続きはそこで終了となり、申立手数料を含め費用は発生しません(A-1のとおり、請求は相手の方が応じた時点で発生します)。その後、家庭裁判所の調停を申し立てるなど、別の方法をご検討いただくことになります。」
これは不安の解消であると同時に、最も強い訴求です。「断られてもお金は取られない」なら、試す心理的コストが一気に下がります。
C-2重要
相手方の回答期限(7日)に触れていない
なぜ:通知メールには〔回答期限〕が入っており、期限を過ぎた場合は申立人の画面が「相手方の回答待ち」に変わります(respondentProgress.ts)。申立人にとっては「いつまで待てばいいのか」が分からないまま待つことになります。「動けずにいる人」を対象にしたLPで、最後に宙吊りの待ち時間が発生するのは惜しい。
修正案:流れのステップ4に「相手の方には◯日以内の回答をお願いしています。回答がない場合はこちらから状況をお知らせします」を追記。
C-3重要
相手方の費用負担を「誰が決めるのか」が書かれていない
なぜ:料金表は「お2人で折半した場合」と条件付きで書いていますが、誰がどう決めるのかが一切ありません。実装ではCSが期日ごとに負担額を設定し、既定は申立人全額です。読者は「折半が標準」と受け取りますが、相手が拒めば全額自分に来ます(A-4と同根)。
修正案:「費用の負担割合は、話し合いのなかで取り決めます。折半が一般的ですが、合意できない場合は申立人のご負担となります」と明記。要確認:実際の運用(CSがどう決めているか)と揃えてください。
C-4重要
相手方に自分の何が伝わるのかが書かれていない
なぜ:FAQ2で「相手の住所が必要」とは書かれていますが、逆方向——申立人の情報が相手にどこまで渡るか——がありません。別居して相手に住所を知られたくない申立人は相当数います。ここが不明なまま本人確認書類のアップロードまで進ませるのは、不親切であると同時に離脱要因です。
修正案:相手方向けサイトのB-5と対になる形で「相手の方に伝わる情報/伝わらない情報」を明示。住所を知られたくない場合の相談窓口も。2サイトで同じ表を使ってください。
C-5重要
「離婚届は自分たちで出す」が小さな※注記だけ
現行
※wakaiでの離婚はお互いの条件に対して合意書を作成したうえでの協議離婚となります。
修正案
wakaiで行うのは離婚条件の話し合いと合意書の作成までです。離婚届の作成・提出はお二人で行っていただきます(合意書があることで、記入内容に迷うことはありません)。
なぜ:「スマホで離婚調停」「すべてオンラインで完結」と繰り返し訴求しているため、離婚そのものが完了すると読む人が出ます。比較表が「調停離婚」「裁判離婚」と並んでいることも、その誤解を強めます。手続きの終点は、期待のズレが最も高くつく箇所です。本文の大きさで書いてください。